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■ 小児理学療法におけるウイズダム実践の試み

Tセンター A.K氏

【はじめに】 小児理学療法の現場では、先天的な障害や事故の後遺症などにより、生涯、運動機能の障害を抱えて生きていく子ども達と、障害を受容しきれず苦しんでいる両親との出会いも多い。
 今回、「因縁果報ウイズダム基本篇」によって関わり、児の機能改善と両親の障害受容の一助になったと思われた症例を報告する。

【症例】 5歳男児。4歳時に脳動静脈奇形による小脳出血を発症、血腫除去、シャントを施行。小脳性失調、右片麻痔、脳幹症状が出現。発症後1年で当センターに転院。
初診時は下肢の運動年齢テストは9ケ月。介助歩行は可能だが、四つ這いや歩行器歩行など、安全で実用的な移動は不可。動作はゆっくりで疲れやすく、バランスを急激にくずして転倒しやすかった。

ゆっくりだが会話は可能で、こちらの指示には従順に従ってくれた。また、就学を1年後に控えた時期だったが、両親は児の障害を受容しきれず、「障害児が使う器具は使いたくない」「普通小学校に入れる」と言って、前病院では車椅子作成を拒否していた。

  演者は「因縁果報ウイズダム基本篇」に取り組んだところ、「何とかなるだろう」「中枢神経の障害は良くならなくても仕方がない」「両親を怒らせたら怖いし、障害受容の話は他の人にしてもらおう」と「快・衰退」の「因」が意識化された。
また、演者主導の理学療法になりがちで、児の意欲が大切にされない環境であることも意識化された。

 そこで、「可能性を信じ、精いっぱい関わろう」「両親にも本心で率直に関わっていこう」と「因」を転換しつづけながら、児の意欲を大切にしながらの楽しい理学療法を心がけた。同志として他職種の担当者と連携をとり続け、親子に懸命に関わった。

 その結果、児は積極的に理学療法に取り組むようになってきた。そして転院後4カ月経過した時点で下肢の運動年齢テストは11カ月となり、つかまり立ちや四つ這いができ始めた。また、両親も段階的ではあるが障害受容に向かい、車椅子と歩行器の使用を受け入れ、学校も養護学校へと方針を変更した。

 

【考察・結論】 「因縁果報ウイズダム基本篇」の取り組みと実践により、子どもの意欲を大切にした理学療法と、両親との率直な関わりを心がけた。
その結果、予想以上の機能回復と、両親が障害受容に向かうきっかけになったと思われた。治療者が決して“希望”を捨てず、自己変革を続けることが最も大切であると思われた。

 
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