【症例】 5歳男児。4歳時に脳動静脈奇形による小脳出血を発症、血腫除去、シャントを施行。小脳性失調、右片麻痔、脳幹症状が出現。発症後1年で当センターに転院。
初診時は下肢の運動年齢テストは9ケ月。介助歩行は可能だが、四つ這いや歩行器歩行など、安全で実用的な移動は不可。動作はゆっくりで疲れやすく、バランスを急激にくずして転倒しやすかった。
ゆっくりだが会話は可能で、こちらの指示には従順に従ってくれた。また、就学を1年後に控えた時期だったが、両親は児の障害を受容しきれず、「障害児が使う器具は使いたくない」「普通小学校に入れる」と言って、前病院では車椅子作成を拒否していた。
演者は「因縁果報ウイズダム基本篇」に取り組んだところ、「何とかなるだろう」「中枢神経の障害は良くならなくても仕方がない」「両親を怒らせたら怖いし、障害受容の話は他の人にしてもらおう」と「快・衰退」の「因」が意識化された。
また、演者主導の理学療法になりがちで、児の意欲が大切にされない環境であることも意識化された。
そこで、「可能性を信じ、精いっぱい関わろう」「両親にも本心で率直に関わっていこう」と「因」を転換しつづけながら、児の意欲を大切にしながらの楽しい理学療法を心がけた。同志として他職種の担当者と連携をとり続け、親子に懸命に関わった。
その結果、児は積極的に理学療法に取り組むようになってきた。そして転院後4カ月経過した時点で下肢の運動年齢テストは11カ月となり、つかまり立ちや四つ這いができ始めた。また、両親も段階的ではあるが障害受容に向かい、車椅子と歩行器の使用を受け入れ、学校も養護学校へと方針を変更した。 |