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■ 看護師によるTL人間学の対話のステップに基づいた
インテイク面接の試み

H内科 K.E氏

【はじめに】  当院では初診患者さんの情報収集(以下、インテイク面接)を看護師が行っている。患者さんは様々な苦しみや痛みなどを抱き不安な想いで来院される。そこで、私たちは、その不安が少しでも軽減されるとともに、医師の診療に際して患者さんの全体像を把握する上での一助となり、医師と響働し、癒しの医療を実践することを願って、TL 人間学に基づいてインテイク面接の過程を考え、実行している。そのインテイク面接の実際と、具体的事例を紹介する。

【方法】 インテイク面接の過程を以下のように考えた。
1.祈り(『新・祈りのみち』で心を調える)
これは、インテイク面接前に、看護師が心を調えるために行う。
2.挨拶、自己紹介、出会いへの喜び
自分の名前をきちんと伝え、患者さんに安心感を与えるようにする。
3. 病気の経過や病気に関連して抱いておられるお気持ち(不安、心配)など患者さんのあるがままを受けとめる
4.患者さんの全体像を明らかにする
具体的には、
 A. 患者
さんの話だけでは不明な点について尋ねる。
 B. 病気発症時のライフイベントは何かを意識化し、その時の気持ちを明らかにする。これは、心身相関からみて、病気発症の背景に何か原因となるようなライフイベントがなかったか、そのときの気持ち・感情とともにお尋ねする。
 C. 病気についての身近な方のお気持ちや発言なども聞く。これは、病気をより客観的にとらえるために、患者さんの主観だけでなく、患者さんの身近な方の発言など客観的な情報を得る。 
5. 患者さんの来院目的・要望などを明らかにし、医師の診察に主体的に向かう気持ちを引き出す
患者さんによっては来院目的が漠然として曖昧な方もおられる。それでは、診察時に医師が、患者さんの来院目的を明らかにするだけで時間をとってしまうので、患者さんのお話とお気持ちを受けとめた上で、来院目的、要望などを患者さんご自身に明らかにしていただき、目的をもって診察に臨めるようにする。
6.祈り(出会いに感謝する)
患者さんが待合室に戻られた後、最後に再び『新・祈りのみち』を読むなどして出会いに感謝し、カルテの記載に入る。

結果】  A さん、40歳代、女性。病名:うつ状態。
主訴は「子宮摘出後、精神不安定で悩んでいる。動悸や落ち着かないなどの症状が悪化してきたので、漢方薬での治療を希望するが、西洋薬でも症状が抑えられれば有り難い」。
インテイク面接の実際は以下の通りであった。
1.祈り(『新・祈りのみち』で心を調える) 
対話室で、『新・祈りのみち』の「出会いの前に」を読んだ。
2.挨拶、自己紹介、出会いへの喜び
患者さんを対話室へ案内し、自己紹介をした。その際、笑顔で和やかな雰囲気で接することを心がけた。
3. 病気の経過や病気に関連して抱いておられるお気持ち(不安、心配)など患者さんのあるがままを受けとめる
A さんは、現在の症状と、30歳代から子宮腺筋症があり、今年の5月に大量出血し緊急手術をしてから具合が悪い。現在内服中の漢方薬でよいのか、必要なら西洋薬も検討してほしいということを話された。
4.患者さんの全体像を明らかにする
ここでは、大量出血時や退院後に具合が悪くなったときなど、環境の変化やストレスなどのライフイベントがなかったかをお聴きした。その結果、病気の背景には、交際していた男性と別れた心の痛みがあることがわかった。A さんは涙を流しながら話され、担当看護師は「それはつらかったですね」「大変でしたね」などお気持ちを受けとめることを大切にお聴きした。

5. 患者さんの来院目的・要望などを明らかにし、医師の診察に主体的に向かう気持ちを引き出す
A さんは「看護師さんに話を聞いてもらって気持ちが半分位楽になりました」と、来院時よりすっきりした気持ちで診療に向かうことができた。
この事例の場合は、来院目的ははっきりしていたので5の過程はない。病気の背景にあった交際中の男性との別れという心の痛みをインテイク面接の段階で話され、A さんのお気持ちが来院時よりも楽になって診察に向かうことができた。
6 .祈り(出会いに感謝する)
患者さんが待合室へ戻られた後、「新・祈りのみち」の「出会いの後に」を読んで出会いに感謝し、カルテの記載に入った。

この事例のインテイク面接にかかった時間は約30分である。この後、A さんは、医師の対話診療を受け、安定剤が処方された。現在では、気持ちに波はあるものの、それを客観視できるようになり、安定剤も服用せずに仕事を始めるまでに回復されている。

 

【考察・結論】 以上のことから、次のことが考察される。
1. インテイク面接の過程を踏み、看護師が共感・受容で関わることで患者さんの不安を軽減できる。
2. 患者さんの全体像を明らかにし、その情報を提供することで医師と響働し、患者さんの癒しにつながる。
私たちがこのような形で患者さんに関われることに大きな喜びを感じるとともに、看護師の受けとめる力の深化は患者さんの癒しに大きく関わると感じている。そのことを通して、今後もさらに外来における癒しの看護の実践を深めてゆきたいと思っている。

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